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北朝鮮のミサイル発射問題に対して、日本は決議案を強く求めていたが、「報道機関向け声明以外は賛成しない」とする拒否権を持つ中露との差は大きく、英・仏、更には米も議長声明による妥協案を求めるようになる。
結局、日本は議長声明に合意をする事となったのだが、過去2回の決議案が出されても北朝鮮には何も効果は無かった筈。
拘束力は無いかもしれないが、今回の議長声明の内容は、国連1695よりも意味があるのかもしれない。
「決議違反」明文化 北朝鮮非難の議長声明、13日採択
http://www.asahi.com/international/update/0412/TKY200904120003.html
北朝鮮のミサイル発射問題をめぐり、国連安全保障理事会は11日午後、非公式の全体会合を開き、発射を非難する議長声明案で大筋合意した。各国が本国からの指示を仰いだ上で、13日の公式会合で採択される予定だ。ミサイル関連活動の停止を求めた06年の制裁決議(決議1718)に対する「違反」も、日本の要求で明文化された。
全体会合に先立って開かれた常任理事国と日本の会合で、日本は発射が過去の決議に違反している事実認定を明確にするよう要求。その結果、原案にあった「従っていない」との表現は、「違反(in contravention of)」に強まった。同じ違反でも、日本が求めた「violation」よりは弱いが、違反である事実は明文化された形だ。
また、通常、法的拘束力のない議長声明では使われない「demand」という強い表現で、北朝鮮がさらなる発射を行わないよう要求。各国で判断が割れている「ミサイル」か「人工衛星」かの認定には踏み込まず、単に「発射」とすることで、将来の衛星名目の打ち上げにも対応できる足がかりを確保した。
既存の制裁の履行を徹底する具体策としては、決議1718が定めた禁輸項目の追加品目リストと、資産凍結の対象となる団体の指定リストを安保理内の制裁委員会が24日までに作り、同委が作成できない場合は、月内に安保理がこれを定めることに同意するとした。
このほか、▽北朝鮮が(核・ミサイル計画の放棄を求めた)決議1718の義務を全面的に履行するよう強調▽加盟国が(制裁の実施など)同決議の義務を全面的に履行するよう要求▽6者協議の早期再開などが盛り込まれた。日本が求めてきた決議という「形式」では譲ったが、「中身」としてはほぼ日本の主張通りの内容となった。
協議後、日本の高須幸雄国連大使は「決議にはならなかったが、決議違反については法的に明確な表現が入った。私たちの立場は通った」と強調した。「非難」や「違反」の表現を盛り込むことに消極的だった中国にも配慮し、「中国政府の柔軟性に感謝する」と述べた。
米国のライス国連大使は、「この声明により、衛星の打ち上げに見せかけた北朝鮮の行動が、(決議の)義務違反であり、相応の結果が待ち受けているのだという非常に明確なメッセージを北朝鮮に送ることになる」と語った。
今後、日本以外の非常任理事国から特段の修正要求がない限り、安保理は13日の公式会合で、同案を全会一致で採択する。
(朝日新聞2009/04/12)
今回の議長声明の原案は、中国の姿勢から決議を断念した模様の米国が、議長声明の原案を作成した模様。それを日中に受け入れを打診する。
日本は拒否したと思われるが、中国は米国に議長声明案を基本的に了承し、2国の協議を経て9日に中国から提示されたらしい。
北朝鮮の現在の主な貿易相手国は、中国、韓国、ロシアなどの様だが、その中で2000年代になってから中国との貿易が非常に活発となっている様であり、北朝鮮の経済に最も大きな影響力を持つようになっているのではないのだろうか。
国連1718は2006年10月に決議をされている。これにも中国は賛成をしており、北朝鮮への経済制裁も行うかと思われたが、その様な事は行っていないらしい。
当時の中国経済は、市場経済化が進んでおり、国家の行政上の権力を持って自由主義経済を動かす事は出来ない為に、原油を止めるしか出来ないのではないのではないかとする人物もいるのだが。しかし、北朝鮮への貿易は2006年10月以降も活発に続いていた様であり、更に2007年4月からは伸びていた様だ。
2008年の5月には、北朝鮮と国境を接する中国吉林省琿春市が、北朝鮮の特別特区、羅先市の港湾や道路の整備を中心とする開発計画で合意をし、6月には朝鮮駐在中国大使館が主催したパーティーで、中国の劉暁明朝鮮駐在大使は「中国と朝鮮が互恵経済貿易協力を行うことは双方に有利なだけではなく、地域の経済発展と繁栄にも有利である。中国は互恵、共栄、共同発展の原則に基づいて、両国の貿易を拡大し、相互投資を一層増やすとともに、北朝鮮と共にインフラ施設、鉱山資源の開発と加工、国境地区の貿易往来などの面での協力を強化していく」中国と北朝鮮の経済関係を深める意思を示す発言を行っている。
昨年から世界は大不況となっている。間違い無く、中国もその影響を受けている筈だ。昨年の中国経済にとって、中朝貿易がどれだけの影響を持っているのかは分からない。
だが、北朝鮮に大きな影響力を持っている事を意識していた事は確かと思われるが、決議に賛成をしなかった。
もしかしたら賛成した場合の、自国へのデメリットを強く意識していたのではないのだろうか。
故に、中国から賛成を得る事は不可能と判断したのだろう。英、仏などは議長声明による妥協案を早い段階で求めるようになっていた様だし、米もその行動に移っている。
そして、決議案にこだわっているかに思わせた麻生首相も、米中による議長声明の展開に対し、10日夕の首相官邸での記者会見で、「決議にこだわって内容が分からないものになっては意味がない。議長声明、決議とあるが、きちんとした国際社会のメッセージが伝わることが一番大事だ」と、発言している。
声明案には、1ページに8項目が記されている。下記の通り、
安保理議長声明案の全文
http://www.chugoku-np.co.jp/NewsPack/CN2009041201000208_Detail.html
国連安全保障理事会の常任理事国と日本が11日提示した北朝鮮のミサイル発射問題をめぐる議長声明案の全文は次の通り。
一、安保理は、朝鮮半島と北東アジア全体における平和と安定を維持することの重要性に留意。安保理は2009年4月5日(現地時間)の北朝鮮による発射を非難、これは安保理決議1718(2006年)に違反。
一、安保理は、北朝鮮が1718決議の下の義務を完全に順守すべきだと繰り返す。
一、安保理は北朝鮮に対し、さらなる発射を実施しないよう要求。
一、安保理は、すべての加盟国に対し、1718決議の下の義務を完全に順守するよう要請。
一、安保理は、団体や物品の指定を通じて、決議1718で科した措置を調整することで合意。また、1718決議で創設された委員会に対し、その任務に取り組み、2009年4月24日までに安保理に報告するよう指示。さらに、もし委員会が行動しなければ、4月30日までに安保理が完了させることで合意。
一、安保理は、平和的方法による朝鮮半島の検証可能な非核化実現および朝鮮半島と北東アジアの平和と安定の維持のため、6カ国協議を支持し、早期再開を要請。また、すべての参加国に対し、中国、北朝鮮、日本、韓国、ロシア、米国によって採択された2005年9月19日の共同声明やその後の合意文書の完全な実施に向けた努力を強めるよう促す。
一、安保理は(現下の)情勢に対する平和的で外交的な解決への希望を表明し、対話を通じた平和的で包括的な解決を手助けする安保理メンバー国やその他の加盟国の努力を歓迎。
一、安保理は、この問題に引き続き積極的に取り組む。
(中国新聞2009/04/12)
国連1695は北朝鮮に対し、ミサイル或いは核兵器に関する事を要求しているかと思われるが、まず北朝鮮に対しロケットやミサイルなどと個別してでは無く、北朝鮮からの物体の発射を行わない事を要求し、そして北朝鮮では無く、北朝鮮との外交に関連する国々に対して、北朝鮮の非核化、平和と安定の為にしっかりと活動する事を要求している。
安保理は13日に全体会合を開き、議長声明案を提出し、採択を行うと思われる。