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09年の衆議院総選挙では民主党は「コンクリートから人へ」として公共事業を激しく批判し、大きく削減する事を宣言していた。その象徴として八ッ場ダムの建設中止もマニフェストに加えられていた。
だが、この事には地元の人々や関係ある自治体などが激しく反論していたのではなかったろうか。結局は八ッ場ダムの建設は続行される事となったが。
 
09年以前より公共事業は税の無駄遣いだとして大きな批判を受けていたのではなかったか。公共事業によるインフラ整備が整っているだろう首都圏や地方中枢・中核都市や中心都市の人々から見れば、その様に感じられるのかもしれない。
 
だが、未だインフラがしっかりと整備されていないだろう地方中小都市の人々にとっては全体の生活環境が決して安定した状況に整備されている訳では無いだろうし、都市の公共事業の整備を求める人々が多く存在しているのかもしれない。
 
生活する環境によって公共事業への意識には大きな隔たりがあるのではないだろうか。故に、09年の衆議院選挙では民主の訴える「コンクリートから人へ」に首都圏や地方中枢・中心都市などに賛同する人々が多く存在していたのかもしれない。しかし、地方中小都市の人々も同じ様に多くの人々が賛同していたとは思えない。
 
だが、例えインフラが整備されている地域であっても公共事業によるインフラの再整備を全く無視する事など出来ない筈だ。
整備され利用される様になったとしても長い年月が経てば、劣化・老朽化する事は間違い無いだろう。そうすれば整備されたインフラの崩壊の可能性は高まる事となる。
 
今月2日には中央自動車道で笹子トンネル内の釣り天井の崩壊により大きな事故が発生している。
午前8時過ぎだった様だが、釣り天井が突然に崩壊し、下敷きとなった自動車から複数の犠牲者が発見された。笹子トンネルは定期的に点検は行われていた様だが、行われていたのは単なる目視であって、的確な点検は行われてなどいなかったらしい。
 
それにより笹子トンネルの状況をしっかりと把握する事など出来なかった事が、今回の事故を発生させる大きな要因となっていたのかもしれない。
 
確実な点検が行われていれば、異常個所などの発見と共に再整備が行われ今回の事故発生を防ぐ事ができた可能性は高い。これはインフラの再整備の重要性も訴えかける事となっているのではないか。
目先のインフラへの支出ばかり目を向けるのでは無く、先を見越したインフラへの支出などもしっかりと行わなければならないと。
 
今回の衆院選では、自民はこの公共事業に関し天然災害からの事前防災を目的とし「国土強靭化」を図る為に10年間で200兆円の投資を行うと訴えている様だが、対し民主や維新の会などはそれに反論する訴えを行っている。
 
全国でインフラ整備が活発に行われていたのは東京オリンピックが開催された昭和39年から40年代とされている。
単純に計算しても整備されてから30年~40年も経っている部分が多い。その当時に整備されたインフラに劣化、及び老朽化が進んでいる事は間違いないだろう。
そのままに放置していれば笹子トンネルの様な大きな崩壊が突然に発生する可能性は十分にあると考えて間違いは無いのではないか。
 
ましてインフラ整備が十分に整っていない地域で崩壊という現象や、事前の状態となり通行不可などとなれば生活環境に大きな悪影響を及ぼしてしまう可能性が高くなる。
また、インフラ整備が十分に行われる事によって生活環境だけでは無く観光事業などにも影響をもたらし、自治体の財源に効をもたらす可能性も高いのではないか。
 
国民の安全と生活環境の安定を図りインフラの再整備や天然災害に対する事前防備の強化を行ったり、充実されていない地域のインフラ整備を行う事は国民生活と共に地方財源にも非常に重要な要素ではないだろうか。
目先ばかりに注視し、インフラ整備を行う事は税の無駄遣いと訴える事は常套と意識する人々が多いのかもしれない。
しかし、それは非常に間違った主張なのではないかと思えてしまうのだが。
 
先を見越した強固で十分な整備・再整備などを行う事により、これからも発生する可能性のある天然災害によるインフラの崩壊や大きな損害を防ぐ事ができれば国民生活にとってもインフラにとっても大きな利益を生む事になるのではないか。
 
また少ない予算でインフラ整備など行うのでは無く、しっかりとした予算を用意しより強固な設備とする事により存続期間は大きく延長するだろうし、定期点検の間隔が大きく開く様になり設置後の点検費用などが大きく減少される可能性もあるのではないだろうか。
目先では無く先を見越した十分な予算でより強固な設備が設置される事となれば、その後の点検などの費用が大きく減少すると同時に、その地域の安全性を高める事になるのではないか。
 
その様に鑑みた時に、先を見越しているだろう「国土強靭化」には納得する事が出来るのだが、目先ばかりを視点としてのインフラ整備への批判や税の無駄遣いをするという主張には非常に疑問を感じさせられてしまう。
 
すでにに生活や産業に関してのインフラ整備が十分に行われているだろう首都圏や地方中枢・中心都市などでは、これ以上の整備は必要ないだろうという意識が高く持たれていのかもしれない。
だが、その様な都市に暮らす人々は過去に整備されていたインフラの劣化や老朽化に関しどの様な認識を持っているのだろうか。
 
また、生活環境に関連性を持ち大きな影響力もあるだろうインフラ整備が十分に行われていないと思われる地方中小都市などでは、インフラ整備をしっかりと行ってもらう事が要望されている事も確かなのではないか。
 
中枢・中心都市の感覚のみだけでインフラの在り方を見るのではなく、国民全体の生活環境のあり方と先を見越した天然災害に対する事前防備の対応を考慮した時に税の投資をする事が果たして無駄遣いとなるのだろうか。
逆に目先ばかりを注視する事によりインフラ再整備や強化、及び日本全体の整備の充実を行おうとしなければ劣化や老朽化による崩壊、或いは天然災害による激しい崩壊などが発生すれば再整備などでは無く、全てを最初からやり直さなければならなくなるのではないか。
 
そうなれば強固な整備や再整備などよりも、より多くの税の投入を強いられる事となるのではないだろうか。
先の事などは無視し、目先ばかりを注視する事により本当の税の無駄遣いを行ってしまう事になるのではないか。その様に思えてならないのだが。
 
インフラの整備という物は国民生活や生活の安全などに大きな影響を持つ非常に重要な要素の筈だ。
なのに、目先ばかりに目を奪われ単に税の無駄遣いと批判する事は国民生活の安定、及び安全を非常に軽率に意識していると思われてならない。
更に国民や住民の生活状況よりも行政の財源保持を重視しているとしか思われない。 
 
橋下が街頭演説で「10年間で200兆円公共事業をばらまく。バケツの水をザルに流し込むようなもので、そんな古いやり方に戻っても意味がない」と発言をしているが、全く先を見越した視点を持っているとは思われない。
これまでの社会風潮を利用した意味の無い訴えと自民批判を行っているとしか思われない。橋下などに公共事業に対するしっかりとした視点など持ちえていないという証ではないのだろうか。
 
これらの主張と訴えは、「コンクリートから人へ」と同じく単なる受け狙いを行っていたとしか思われない。自民に対し維新の会などの支持率は非常に厳しい状況にあるとされている。
単に自民の主張を批判する事により、有権者の意識を得る事を図っているに過ぎないだろう。真剣に政策などを主張し訴えているなどとは到底思えない。
 
09年以前にはマスコミや野党によりインフラ整備を行う事を非常に批判されていた。そういった事を考慮してなのか否かは理解できないが、小泉政権下ではインフラ整備を減少させる為に地方交付税などの減少が行われていなかったろうか。
それにより、地方自治体はインフラ整備に消極的とならざるを得なかった。その為に地方の土建業界の多くが廃業へと追い込まれる事となり、多くの失業者が発生したのではなかったろうか。
 
インフラ整備の現場で就業していた人々が失業させられた者達は他の職種に正社員として再就職をする事は難しかったろう。更に2008年にリーマンショックが発生し、日本はデフレ経済へと没落していく。
これにより雇用は大きく減少し、あらゆる業者から失業者が大量に発生する様になったのではなかったろうか。この状況は現在となっても何ら変わらない。多くの人々が苦しい生活を強いられる事となっている。
この様な状況で民間企業による雇用促進を行う事は非常に難しい現状なのではないだろうか。

だが、この時に国民生活や自治体にとっても重要なインフラ整備・公共事業に大きな財源投資を行う事は、土建だけでは無くその関わる中小企業などの雇用促進の可能性は高まるだろうし、インフラ整備により地域の産業の流通や観光事業の活性化も促す事となるのではないか。
そして小さな地域の人々の生活環境も安定化されていく事となるだろう。
 
麻生政権では大胆な財源投資を行う事により思い切った経済政策を実行しようとしていた。
だが、野党は赤字状態にあるのに大きな財政投資を行う事は異常ではないかなどと強く批判を繰り返していたのではなかったか。
 
だが、経済状況が行き詰った状態であったからこそ、目先ではなく先を見越した大胆な策に出なければならなかった事は間違いないだろう。
民主政権となってからは大した経済政策などは一切行わずに、適当な事ばかりを行っていたのではなかったろうか。
結果、日本の経済状況は大きく悪化していると思われるが。
 
先を見越した政策など一切出来ずに目先ばかりを意識した政策案ばかりを考察する事しか出来ない、或いは目立つ事ばかりを主張し意味ある政策を作成する事が出来ない政党などに、現在の日本の社会・経済状況の改善を行う事など不可能と思われてならない。
結局は国民生活を意識した活動を行おうとしているのでは無く、政権維持、或いは権力奪取ばかりを意識した活動を行っているのではないだろうか。
 
政治家を選択する権限を持つのは国民。有権者はどの政党がどの様な事を訴え、どの様に実行すると主張しているのかをしっかりと吟味し投票する者を選択しなければならない。
 
国の行く末を選択する責任は決して政治家や政党だけにあるのでは無く、政治家や政権を選択する権限を持つ有権者である国民に最も大きな責任があるのだから。
 
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